公道を走る以上、事故に遭う可能性があります。
交渉次第では満足いく補償を受けられない事もあります。
有利に交渉する
納得できる補償を受ける
スポーツサイクルで公道を走るサイクリスト
今回の記事は、自転車で走行中に事故に巻き込まれた場合、納得いく補償を受ける為の秘訣についてまとめました。
納得できる補償を受けられる様に、事前に知識を付けておきましょう。
それでは、どうぞ。
目次
事故処理の手順

警察に通報する
保険会社に連絡する
証拠写真を撮る
事故当日に病院に行き、医師の診断書をもらう
その後の示談交渉で相手側が保険を使う場合、交渉相手は保険担当者になる
満足いく補償を受けられたら示談書に署名して事故処理終了
保険会社は補償額を抑える為に渋い査定をしてきます。
初動から正しい行動をして、納得いく補償を受けましょう。
事故対応

まずは警察に電話する
公道を走行中に交通事故に遭った場合は警察に通報しましょう。
当然電話番号は110です。
事故を連絡するのは義務ですので、遠慮する必要は一切ありません。
安易に示談しない
賠償金を支払うのは保険会社ですので、当事者には示談交渉権はありません。
ですので、その場で勝手に示談するのは絶対にやめましょう。
もし保険会社を通さずに示談交渉した場合、保険会社は事故過失基準に基づいて賠償金額を決めます。
それを超える金額を請求したり請求されたりした場合、自腹で補填する羽目になります。
任意保険の補償内容を見せてもらう
相手側の保険の補償内容が分かると、その後の交渉において有利になります。
「保険に入っているのか確認させてほしい」とか、それっぽい事を言って相手の自動車保険証を見せてもらうといいでしょう。
もし見せてもらうのを渋っている時は、「本当に自動車保険に入っているのですか?」と言って見せてもらう様にしましょう。
自動車保険証を見せてもらう事ができたら、まずは補償内容を丸暗記しましょう。
でも全部覚えきれないと思いますので、対物超過特約の有無だけ確認します。
対物超過特約が付いていれば、自転車の時価より修理費の方が高くなった場合ても50万円まで補償されます。
スポーツサイクルの時価算定で泣けてくる程度の査定しかしてくれず、十分な補償を受けられない事がよくあります。
対物超過特約の有無が確認できましたら、補償内容の写真を撮ってもいいか聞いてみましょう。
もしダメと言われても、対物超過特約の有無だけ確認できたらいいですので、食い下がる必要はありません。
保険会社に電話する
自転車保険を使う場合は、当然ですが保険会社に連絡をする必要があります。
携帯電話にあらかじめ保険会社の電話番号を登録しておきましょう。
オペレーター対応になりますが、24時間対応してくれる電話番号も一緒に登録しておきましょう。
電話する優先順位は、時間内であれば担当者に電話、時間外でしたらオペレーターに電話の順になります。
その時、保険会社から指示がありましたら従いましょう。
事故状況の写真を撮る
事故現場で、自分の自転車の写真と相手の車両の写真を撮りましょう。
自転車と自動車の全体写真と、事故で破損した部分の写真を撮影します。
事故現場の写真も合わせて撮ります。
あとは、事故の状況を忘れる前にメモしましょう。
携帯電話の動画撮影機能を使って、自分で事故状況をしゃべって録音してもいいです。
とにかく証拠を集めましょう。
すぐに病院に行って診断書を発行してもらう
自転車は自動車と違い体がむき出しですので、事故に遭ったら大抵怪我をします。
ただし事故が発生した直後は、興奮して痛みや異変に気付かない事もよくあります。
医師の診断書を発行してもらう為にも、すぐに病院に行きましょう。
もし時間外であれば、遠慮なく救急車を呼びましょう。
事故当日は体に異変があっても、翌日には異変がないかもしれません。
そうなると診断書を発行してもらえません。
医師の診断書は、保険会社との交渉材料として非常に有利に使えます。
ショップに事故車両を持ち込み修理金額の見積もりを依頼する
自転車を購入したショップに破損した自転車を持ち込み、事情を話して修理金額の見積もりを取ってもらいましょう。
もし、ネット通販で購入した場合は走行会やイベントでお世話になっているショップに持ち込むといいでしょう。
ショップは事故車両の見積もりも行っていると思いますので、泣けてくる程度の金額しか保険会社が出してくれない事も理解しています。
きっとあなたの力になってくれると思います。
交渉

自転車でも10対0の事故案件は少ない
自転車も車両ですので、基本自動車と同じ過失割合が適用されます。
ただし、交通弱者である自転車は自動車より過失割合が有利になります。
例えば、交差点で「自転車側直進」「自動車側右折」での事故の場合、自転車側1に対して自動車側9の過失が発生します。
また、自動車側が一旦停止の標識を無視して突っ込んできた場合や、私有地から自動車が出てきた場合でも同じ過失割合になります。
その過失割合により、自動車側は修理費用の9割までしか保証する義務はありませんし、自転車側は1割を自動車の修理費用として補償する義務が発生します。
例外として、追突されたり停車時にぶつかってきたり逆走してきてぶつかってきたりした場合は、全面的に自動車側に賠償責任が発生します。
当事者は素人
相手は事故慣れしていませんので、示談交渉も当然慣れていません。
こちら側も同じです。
ですが、相手側は保険会社と連絡を取り合っています。
相手の責任以上の要求をこちら側が行えば強要になり、それが以後の交渉において不利な材料になります。
「誠意が感じられない」「菓子折りを持ってきて謝罪しろ」「土下座して詫びろ」、こんなことを相手に言ってしまったら強要になってしまい、こちら側が不利になります。
絶対に言わない様にしましょう。
相手が保険を使う場合、交渉相手は当事者ではなく保険会社の担当者になります。
保険会社の担当者から連絡がきた場合は、それ以後の交渉は保険会社の担当者に行います。
例え保険会社の担当者が賠償金額を出し渋っても、当事者に直接電話をして交渉したら強要になる場合も考えられますので、当事者には電話しない様に。
ドライブレコーダーの動画について
自転車にドライブレコーダーを付けている人は少数派になりますが、もし付けているのでしたら事故が起きた前後の動画を、こちらの保険会社に提出しましょう。
こちら側の保険会社側の交渉材料として、有利に使ってくれるはずです。
ただし、相手側の保険会社に動画や写真を提出する必要はありませんので、要求された場合はこちら側の保険会社の担当者に相談しましょう。
もし安易に動画を渡してしまったら、それを材料に使われ交渉が不利になる場合があります。
しつこく要求してきても、こちら側の保険会社の指示通りに行動しましょう。
用件だけを聞いて担当者と相談後返答する
相手の保険会社の担当者と電話でやりとりしている場合、録音されていると考えてください。
つまり、うっかり口にした事が相手側の材料にされて不利になります。
相手側の保険担当者とやりとりする場合はこちらも録音し、電話では用件だけを聞きます。
その場での返答はやめましょう。
一度、こちら側の保険担当者に連絡してどう返答するか相談してから、改めて相手側の保険担当者に電話すると揚げ足を取らにくくなり交渉が有利になります。
査定額を渋ってくる
保険会社も利益を追求する為に仕事をしています。
ですので、いろいろ難癖を付けてきて支払う費用を抑えてきます。
査定額計算に、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準がある
補償の基準には、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つがあります。
渋い査定をするのには理由があり、「自賠責基準」を基本として計算してくるからです。
その査定を交渉により「弁護士基準」に近づけられるかが増額の秘訣になります。
医師の診断書を交渉材料として使う
もし納得できる補償を提案してこなかった場合、医師の診断書があれば非常に有利に交渉する事ができます。
医師の診断書を警察に提出したら、物損事故から人身事故になり、加害者側に罰金刑が加わる可能性が発生します。
罰金は保険の補償対象外ですので自腹で納付しなければならず、また前科がついてしまうので嫌がられます。
その事を保険担当者は理解していますので、こちら側が物損事故扱いで処理する条件で破損した自転車を新車扱いで査定してくれる事もあります。
それに物損事故で処理したとしても、基本こちら側の怪我の治療費は補償してもらえるのでメリットしかありません。
念の為に、こちら側の怪我の治療費について補償されるのか、相手側の保険担当者に聞いてみるといいでしょう。
もし担当者の知識不足で「ご自由にどうぞ」と言ってきた場合は、遠慮なく警察に診断書を提出して人身事故に切り替えてもらいましょう。
ただし、こちら側として得られるものはなく、渋い査定はそのまま残ります。
全損超過修理特約で渋い補償から脱却
医師の診断書を交渉材料として使っても、満足いく補償を提案しない場合もあります。
事前に相手の保険の特約に「全損時超過修理特約」に入っている事を確認できていれば、「自転車の壊れた部品を交換修理するので修理費用を補償してほしい」と交渉しましょう。
その時に合わせて担当者に「全損時超過修理特約に入っているでしょ」と言ったあと、「愛着のある自転車だから直して走る」と言って、全損時超過修理特約を使わせる様に交渉しましょう。
解決しなければ弁護士特約を使う
担当者が全損時超過修理特約を使わせなく、とにかく補償金額を抑えてきて納得できない場合、こちら側の担当者に弁護士特約を使いたいと相談した上で「弁護士を付けて裁判する」と言いましょう。
その後、こちらの担当者に連絡して弁護士特約を使うと言って、それ以降の交渉は弁護士に任せましょう。
ただし、裁判は長期間になりますので、とりあえず自腹で自転車を直すか、新しい自転車を買い替えましょう。
解決

示談書に署名捺印して解決終了
怪我の治療が終わり、自転車の補償を受けられて走られる状態になりましたら、相手側の担当者から送られてくる示談書に署名捺印して事故処理は終わりになります。
終わりになりますので、それ以後に発生する後遺症や違う破損部が見つかっても、相手側は一切補償してくれません。
慎重に決断しましょう。
まとめ
保険を使う場合、交渉権は保険会社にありますので、その場で示談交渉しない。
証拠を残す為に、双方の車両の全体と破損部と事故現場の写真を撮影する。
事故当日に病院に行って診察してもらい、医師の診断書を発行してもらう。
交渉はこちら側の保険担当者とよく相談して行う。
相手側が保険を使う場合は担当者との交渉になるので、当事者に直接電話しない。
保険会社は補償額を抑える為に渋い査定をしてくる場合が多いので、医師の診断書や全損時超過特約や弁護士特約の交渉材料を有効に使う。
事故解決後、示談書への署名捺印は交渉のやり直しができないので慎重に。
以上の事を踏まえ、交渉に臨みましょう。
