ビッグプーリーで5Wも抵抗が減らせられるのなら、試してみたいですよね。
ベアリングプーリーには効果がある事が分かる。
ビッグプーリーの購入を検討している人
ビッグプーリーの効果についてまとめました。
この記事を読んで、ビッグプーリーを購入する前に本当に効果があるのか、よく考えましょう。
それでは、どうぞ。
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目次
本記事の要約
重りをペダルの軸に吊り下げてプーリーが動き出す重量をテストした所、ビッグプーリーには違いはありませんでしたが、ベアリングプーリーには違いがありました。
プーリーの抵抗値を計算した所、ビッグプーリー2.15W、デュラエースプーリー1.96Wとビッグプーリーとの違いはありませんでしたが、105プーリー3.33Wとプーリーのベアリング化には違いがありました。
指でクランクを逆回転させた時、デュラエースプーリーとビッグプーリーに違いは感じられませんでしたが、105プーリーは明らかに重く感じました。
検証した所、ビッグプーリーには効果がありませんでしたが、ベアリングプーリーは効果がある事が確認できました。
ビッグプーリーに効果があるのか?
2010年以前から、ディレイラーのガイドプーリーとテンションプーリーを大型化するビッグプーリーキットが製品化されました。
歯数を増やしますとチェーンの屈折角度が緩やかになりますので、チェーン抵抗が軽減できます。
同じ走行速度になる様にアウター53Tリア15Tとインナー39Tリア11Tで走り比べた時、ペダルはリア11T使用時の方が重たいです。
では、同じ事をプーリーに当てはめますと、抵抗は15Tのビッグプーリーを使用した方が軽くなるのではないかと思われます。
そこで、通常の11T-11Tプーリーと13T-15Tのビッグプーリーをリアディレイラーに組み付けて、ビッグプーリーに抵抗軽減効果があるのか検証しました。
プーリーの抵抗は誰が漕いでも変わらない
プロは我々趣味で楽しんでいるサイクリング愛好家とは脚力が全然違います。
ですが、ディレイラープーリーはディレイラーテンションによってプーリーとチェーンを引っ張っていますので、プロでも貧脚でもクランクを回した時のプーリーの抵抗には差がありません。
ですので、もしプーリーに抵抗軽減効果がありましたら、プロであろうが貧脚であろうが同じ恩恵を受けられます。
ビッグプーリーの効果を検証
プーリーが動き出す重量を実測してから、実測値を用いてプーリーの抵抗を計算しました。
プーリーが動き出す重量テストを実施
ペダルを逆回転させますとハブが空回りしますので、プーリーの抵抗が分かりやすくなります。
ペダルの軸にペットボトルの空き容器を糸でぶら下げて水を注ぎ込み、クランクが下を向いた時の吊り下げ重量を計測しました。
計測結果
歯数構成 | プーリー | 重量 |
13T-15T | 社外製ベアリングビッグプーリー | 137g |
11T-11T | デュラエースベアリングプーリー | 125g |
11T-11T | 105ブッシュプーリー | 212g |
吊り下げテストを実施した所、11T-11T のプーリーも13T-15Tのビッグプーリーもほとんど差がありませんでしたが、ブッシュプーリーは212gと約80g吊り下げ重量を増やしませんとクランクは下に向きませんでした。
プーリーの抵抗値を計算
プーリーが動き出す重量をテストした結果を用いて、プーリー部で発生する抵抗(実際には空回し時のドライブトレイン抵抗)を検証します。
検証方法はプーリーが動き出す重量を90ケイデンスで回した時、プーリー部で発生する抵抗値を計算で求めます。
計算方法の詳細は、書籍「ロードバイクの科学」の43ページに書かれています。
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まずは、ペダルが秒速何メートルで移動するか、周速度を計算します。
計算式
\(\frac{ケイデンス}{60}×2×円周率=ペダル周速度(m/s)\)
\(\frac{90}{60}×2×3.14=9.42\)
計算した所、ペダルの軸部分の周速度は9.42m/sである事が分かりました。
次に、プーリーが動き出す重量実測値を用いて、クランクの軸に加わるトルクN(ニュートン)を計算します。
重量とクランク長(170mm)の計算で使用する単位はkgとmですので、1000で除算(割り算)します。
計算式
荷重(kg)×クランク長(m)×重力加速度=トルク(N)
\(\frac{137}{1000}×\frac{170}{1000}×9.8=0.23N\)
最後に計算で求めたトルクの値を用いて、プーリー部で発生する抵抗を計算します。
計算式
トルク(N)×ペダル周速度(m/s)= プーリー部で発生する抵抗(W)
0.23×9.42=2.15W
後は同じ要領で、残り2つのプーリー部で発生する抵抗も計算します。
計算結果
社外製ベアリングビッグプーリー | 0.23N | 2.15W |
デュラエースベアリングプーリー | 0.21N | 1.96W |
105ブッシュプーリー | 0.35N | 3.33W |
それぞれ計算した所、吊り下げ重量と抵抗値が比例している事が分かりました。
仕事率(W)で見てみますと、11T-11T のプーリーも13T-15Tのビッグプーリーもほぼ同じ抵抗値ですが、ブッシュプーリーは約1W抵抗が大きいです。
指でクランクを逆回転させた時の軽さをテスト
吊り下げ重量計測テストと併せて、実際に指でクランクを逆回転させた時の軽さに違いがあるか検証しました。
クランクを逆回転させた所、社外製ビッグプーリーもデュラエースプーリーも軽さに違いがなく、例えブラインドテストしたとしてもまず気づきません。
105のブッシュプーリーは、ベアリングプーリーより明らかに回した時の感覚が重いです。
軸受け部分が滑り軸受のブッシュと転がり軸受のベアリングとの違いを指で回して確認した所、明らかに抵抗に違いがありました。
結論:ビッグプーリーには効果がない
プーリーの抵抗を検証した結果、ビッグプーリーは5Wの抵抗軽減効果どころか1Wも抵抗が軽減できておらず、ビッグプーリーにした所で少しも速くならない事が分かりました。
ビッグプーリーの抵抗軽減のメリットはまやかしで、変速性能が落ちるデメリットのみあります。
プロの選手はスポンサーが提供する製品に対しては拒否権がありません。
レースのレギュレーションに反していない限り、メーカーが提供した物が例えアルミのシールであったとしても自転車に張り付けてレースに出場しています。
メーカーは売れる製品を販売していますが必ずしも効果がある製品を販売している訳ではありませんので、ツールのトッププロがビッグプーリーを使用していても安易に信じない様にしましょう。
一方、プーリーのベアリング化は1Wの抵抗軽減効果があります。
たったの1Wですがレースやロングライドに効果的ですので、当ブログではプーリーのベアリング化をおすすめします。
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アルテグラや105にも使用できます。
ディレイラープーリーは変速性能に影響しますので、純正品をおすすめします。
まとめ
重りをペダルの軸に吊り下げてプーリーが動き出す重量をテストした所、社外製ベアリングビッグプーリー137g、デュラエースベアリングプーリー125gとビッグプーリーとの違いはなかったが、105ブッシュプーリー212gだったのでベアリングには違いがあった。
プーリーの抵抗値を計算した所、社外製ベアリングビッグプーリー2.15W、デュラエースベアリングプーリー1.96Wとビッグプーリーとの違いはなかったが、105ブッシュプーリー3.33Wだったのでプーリーのベアリング化には違いがあった。
指でクランクを逆回転させた時の軽さをテストした所、デュラエースプーリーとビッグプーリーに軽さの違いは感じられなかったが、105ブッシュプーリーは明らかにベアリングプーリーより重く感じた。
今回のビッグプーリーの検証では、ビッグプーリーには効果がない事が確認できたが、同時にベアリングプーリーには効果がある事が確認できた。
自転車に乗っても、メーカーの販売戦略には乗せられない様にしましょう。
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