大手メーカー製のスポーツサイクルから比べますとルック車は格安ですので、比較しますとデメリットが多そうですよね。
用途別に7速ギヤによるデメリットが分かる。
ルック車でのパンク対応方法について分かる。
ルック車でレースやツーリングをしようとしている人
ルック車でレース参戦やツーリングをする場合の影響についてまとめました。
この記事を読んで、ルック車に対する不満を和らげましょう。
それでは、どうぞ。
目次
本記事の要約
ルック車でレースに参戦しますと自転車重量の重さや変速段数の少なさによる影響で、速度が遅くなったり加速が鈍くなったり脚の消耗が激しくなったりしますので、他の選手より不利になります。
ツーリングや通勤通学では自転車重量の重さや変速段数の少なさによる影響は受けにくいですが、メンテナンス性が悪い為にパンクした場合はパンク対応が大変です。
ルック車で走る事による影響
ルック車では不利になる下記要素について、各レースや使用場面に応じて考察しました。
重量増による影響は、自転車重量が重くなる程加速が鈍くなったり、上りが遅くなったりします。
7速ギヤによる影響は、11速ギヤよりギヤの間隔がかなり離れていますので、例えペダルが重かったり軽かったりした場合でも、変速しましたら逆にペダルが軽くなり過ぎたり重くなり過ぎたりして余計にペダルが漕ぎにくくなります。
その為、結局元のギヤに戻して走る事になりますので、きめ細かい中間ギヤがある11速ギヤより7速ギヤは脚が消耗しやすいです。
パンクした時の対応は、ルック車では後輪の脱着は工具を使わないとできません。
パンクしてもホイールを脱着するだけでも手間取りますので、パンク対応ではスポーツサイクルよりルック車は余計に時間が掛かります。
ルック車でレースに参戦する事による影響
ヒルクライムレース
ヒルクライムレースはスタート地点が山の麓(ふもと)、ゴールは山頂ですので、ほぼ上りだけのレースです。
重量増による影響
ヒルクライムレースは上りがメインのレースですが、コースによっては1ヵ所か2ヵ所程度の僅かな区間で平坦路や下りがあります。
上りを走る場合の走行抵抗は約90%が登坂抵抗ですので、自転車重量と速さは直結しています。
ですので、ヒルクライムレースでは重くなる程不利になりますから、激重ルック車での参戦はかなり不利になります。
ただし、あえてママチャリで参戦する人もいまして、次々とロードバイクを抜いてゴールしていますので、レースで最も重要な事は脚力と心肺機能です。
ヒルクライムコース
距離 14.4km
標高差 800m
走行条件
身長 171cm
体重 61kg
出力 250w
ハンドルバーポジション
タイヤ Continental Ultra Sport III
この条件から自転車重量だけ
ルック車15kg
エントリーロードバイク10kg
で2台をシミュレーションしました。
その結果
ルック車 17.8km/h 走行時間48分32秒
エントリーロードバイク 18.7km/h 走行時間46分17秒
134秒のタイム差になりました。
速度の計算フォームを用意しました。
ただし、実際のコースは同じ勾配が続く訳ではありません。
一定勾配の直線道路を走る事を想定しているシミュレーションの計算結果より、実走ではタイムが遅くなります。
7速ギヤによる影響
上りは常に勾配が変わりますので、常に一定負荷で走り続けられるローラー台と違い実走の上りでは常時負荷が変わります。
勾配が変わりますと同じペースで走ったとしても速度が変わってきますので、同じギヤで走っている場合ケイデンスが変わります。
7枚のギヤでは中間ギヤの間隔がかなり離れていますので、重いギヤでゴリゴリペダルを踏んで走ったり軽いギヤでクルクルペダルを回して走ったりせざるを得ない状況になります。
よく言えば変速操作を気にしなくてもいいですが、実際は変速しましたらケイデンスが変わり過ぎますので変速しない方がマシなだけです。
そして、変速しますとペダルが一気に重くなり結局元のギヤに戻す事になりますので、脚への負担が大きいです。
パンク対応
ルック車は後輪がパンクした場合パンク対応が大変ですが、レースで真剣にタイムを競い合う場合はどの自転車で走ろうがパンクした時点でレース終了です。
レースの規約上ではパンクを直して走っても大丈夫ですが、パンク対応に10分から15分は掛かりますので、ほとんどの人はパンクした場合はリタイアします。
ですので、ルック車で走ってもパンクしましたら他のスポーツサイクルと同じですので、パンク面では不利にはなりません。
クリテリウムレース
クリテリウムレースは広い敷地内にパイロンやテープを用いてコースを作り、そのコースを周回してタイムを競うレースです。
重量増による影響
敷地内にコースを作りますので、コーナーはタイトになりがちで自転車の加速と減速が多いです。
コーナー手前で大きく減速した後コーナーを抜け始める所から巡航速度まで加速します。
その時、激重ルック車では加速が鈍くなりますので、周囲の選手より遅れを取ってしまいます。
加速の遅れが積み重なって集団から千切れてしまう事もあります。
走行条件
身長 171cm
体重 61kg
ホイール外周重量 1.7kg
減速時速度 20.0km/h
巡航速度 36.7km/h
加速中の出力 300w
下ハンドルポジション(腕を曲げる)
平坦路
タイヤ Continental Ultra Sport III
この条件から自転車重量だけ
ルック車15kg
エントリーロードバイク10kg
で2台をシミュレーションしました。
その結果、加速時間は
ルック車 10.050秒
エントリーロードバイク 9.301秒
0.749秒の加速時間差になりました。
0.749秒を36.7km/hで巡航している時、
36.7km ÷ 3.6 = 10.19m/s
10.19m/s × 0.749秒 = 7.635m
と、コーナーで減速した場合、再加速後には7.635m後れを取る事になります。
例えばレース中に合計50回加減速があった場合は、381mも離されて先にゴールされます。
加速時間計算フォームを用意しました。
出力250wで停車時から36.5km/hまで加速した実データと比較した場合、ほぼシミュレーション通りの結果になりましたが、それ以外のデータは取れていません。
ですので、出力を大きくした場合、実データとシミュレーションの計算結果では加速時間が乖離(かいり)する事があります。
7速ギヤによる影響
7速ギヤではギヤの間隔が広い為、こまめなシフトチェンジができません。
ですので、ハイケイデンスを維持する事が難しく、集団の流れに合わせにくいです。
パンク対応
クリテリウムレースではパンクしましたら集団に追いつく事はまず無理ですので、リタイアせざるを得ないです。
ですので、パンク対応を気にする必要自体ありませんので、後輪が簡単に外せられないルック車でもパンク面ではまったく問題ありません。
ロードレース
ロードレースは交通規制を掛けて1周10~15kmのコースを2~3周走るレースです。
平坦路だけのコースがあれば、アップダウンがあるテクニカルなコースもあります。
実業団レースでは足切りポイントがあり、足切りポイント通過時に先頭走者より10分以上遅れますと強制的にリタイアさせられます。
重量増による影響
公道を走りますので、コースによってはコーナーの道幅も大きく、大きく減速しなくてもアウトインアウトのライン取りで通過できるコーナーも多いです。
緩いコーナーの場合大して減速しなくても通過できますので、加速も最小限で済みますから激重ルック車でも問題ありません。
ただし、アップダウンがあるレースでは上りの場面で激重ルック車は同じ脚力の選手より大きく後れを取ってしまいます。
走行条件
身長 171cm
体重 61kg
ホイール外周重量 1.7kg
減速時速度 30km/h
巡航速度 36.7km/h
加速中の出力 300w
下ハンドルポジション(腕を曲げる)
平坦路
タイヤ Continental Ultra Sport III
この条件から自転車重量だけ
ルック車15kg
エントリーロードバイク10kg
で2台をシミュレーションしました。
その結果、加速時間は
ルック車 5.978秒
エントリーロードバイク 5.518秒
0.46秒の加速時間差になりました。
0.46秒を36.7km/hで巡航している時、
36.7km ÷ 3.6 = 10.19m/s
10.19m/s × 0.46秒 = 4.659m
と、コーナーで減速した場合、再加速後には4.659m後れを取る事になります。
例えばレース中に合計15回加減速があった場合は、69.897m離されて先にゴールされます。
加速時間計算フォームから、シミュレーションできます。
7速ギヤによる影響
集団の中で走っている間は空気抵抗が小さい為に負荷が軽くケイデンスが低くても脚への負担は小さくなりますが、アタックを掛ける場面ではシフトアップした途端一気にペダルが重くなりますので、11速より7速の方が不利になります。
また、人のパワーバンドは狭いですから、一番パワーが出せるケイデンス域を外れたと感じて変速しましたら、もっとケイデンスが変わってしまい結局ギヤを戻す事になりますので走りづらいです。
パンク対応
パンクした時点で集団から離脱してしまいます。
パンクをその場で直して走ったとしても集団に追いつく事はまず無理ですし、レースでは誰も待ってくれず単独で走らざるを得ませんので、ますます集団から離れてしまいます。
ですので、パンクの場合はリタイアする事になりますので、ルック車でも関係ありません。
エンデューロレース
エンデューロもロードレースと同じく公道に交通規制を掛けてレースを行います。
違いは走行時間で、ロードレースは1時間程度で終わりますが、エンデューロは3時間から5時間掛けて走り、コースの周回数を競います。
コースは平坦路のみだったり、アップダウンがあったりします。
重量増による影響
ロードレースでは周回数が少ない為に周回遅れの選手は走っていませんので気にしなくてもいいですが、耐久レースのエンデューロは遅く走っている周回遅れの選手がいます。
周回遅れの選手たちと同じコースを走っている為に自由にライン取りする事が困難ですので、場合によってはコーナーで必要以上に減速せざるを得ない状況になる事も考えられます。
そして、コーナーで大きく減速した後に巡航速度まで加速しますので激重ルック車は不利になりますし、加速のもたつきによる積み重ねが周回数に影響が出る程に平均速度が遅くなる事もあります。
また、アップダウンがあるコースでは激重ルック車は、上りで同じ脚力の選手が乗っている軽い自転車より確実に遅くなります。
走行条件
身長 171cm
体重 61kg
ホイール外周重量 1.7kg
減速時速度 30km/h
巡航速度 36.7km/h
加速中の出力 300w
下ハンドルポジション(腕を曲げる)
平坦路
タイヤ Continental Ultra Sport III
この条件から自転車重量だけ
ルック車15kg
エントリーロードバイク10kg
で2台をシミュレーションしました。
その結果、加速時間は
ルック車 5.978秒
エントリーロードバイク 5.518秒
0.46秒の加速時間差になりました。
0.46秒を36.7km/hで巡航している時、
36.7km ÷ 3.6 = 10.19m/s
10.19m/s × 0.46秒 = 4.659m
と、コーナーや周回遅れの選手の為に減速した場合、再加速後には4.659m後れを取る事になります。
例えばレース中に合計300回加減速があった場合は、1397.7m離されて先にゴールされます。
加速時間計算フォームから、シミュレーションできます。
7速ギヤによる影響
3時間から5時間走り続ける耐久レースでは、重いギヤで走り続けますと脚への負担が大きく、後半脚がよりタレてきます。
ペダルが重くてシフトダウンしたら今度は軽くなり過ぎてしまい、結局ギヤを戻してしまう事もありますので、7速ギヤでは走りづらいです。
パンク対応
エンデューロにはピットが設けられています。
チームで走ってメンバーチェンジする時や補給食を摂る時にピットに入りますが、自転車のメカトラブルが起きた時にもピットに入ります。
パンクしてもスローパンクでしたら自走してピットまでたどり着けますが、すぐに空気が抜ける様なパンクの場合はパンク修理剤を使ってとりあえず自走できる様にしてピットに入るか、自転車を押してピットに入る事になります。
後輪が簡単に外れられるスポーツサイクルでしたらチューブを交換する方法も取れますが、ルック車ではチューブ交換は困難ですので、パンク修理剤で塞ぎきれない様な大きな穴の場合は自転車を押してピットに入る事しかできません。
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ルック車でツーリングする事による影響
ツーリング
ツーリングは日帰りツーリングから宿泊を伴うツーリングまであります。
ブルベでは時間制限がありますが、ツーリングは時間制限がありません。
重量増による影響
ツーリングで峠越えする場合上りを走りますので、自転車重量が重いとその分遅くなりますが誰かと競い合っている訳ではありませんので、多少遅くなっても問題ありません。
〇〇時間で走れたと仲間内で競い合っている場合は自転車重量が重いと遅くなりますので不利になりますが、ルック車で走っている段階で十分凄いです。
7速ギヤによる影響
ツーリングではレースとは違い息を切らして走る必要がなく緩いペースで走りますので、ケイデンスは多少低くても特に問題はありません。
ただし、重いギヤで走り続けた場合は、脚への負担が大きくなる為に後半膝が痛くなりやすいですので注意が必要です。
パンク対応
通常パンクした場合その場で予備のチューブに交換してパンク対応しますが、ルック車で後輪がパンクしますとフレームからホイールを脱着するだけでも一苦労です。
ですので、小さな穴の場合はパンク修理剤を用いてパンク対応し、穴が大きい場合のみ時間が掛かってもフレームからホイールを外してからチューブ交換します。
また、フレームからホイールを外さなくても、パンクした部分のチューブのみをタイヤレバーで外してパッチを当てて対応する事もできます。
その時にはタイヤに異物が刺さっていないか、タイヤが裂けていないか確認しましょう。
もし、サイドカットやタイヤが裂ける程の大きなパンクの場合では、チューブを交換したり直したりしても、空気を入れましたらチューブが膨らんでタイヤの裂け目から飛び出ますのですぐにパンクします。
その様な状態の時にはタイヤ用のパッチや絶縁テープを貼って、空気を入れる時は空気圧を普段より低めに設定してタイヤに衝撃が加わらない様に慎重に走りましょう。
僕は替えのチューブのバルブ部分に絶縁テープを貼って携行していますので、その様な場合ではバルブに張り付けているテープを利用してタイヤの裂けた部分に張り付けて対応しています。
サイドカットして裂けたタイヤ。
裂けたタイヤも絶縁テープを貼って応急処置できます。
応急処置して空気を入れたタイヤ。
空気圧を上げ過ぎますとタイヤが裂けますので、空気圧は低め(23cや25c幅の場合5bar)にして慎重に走って帰宅しましょう。
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日常でルック車に乗る事による影響
通勤通学
通勤通学では指定された時間までに到着しなければなりませんので、指定された到着時間が時間制限になります。
重量増による影響
信号が多い市街地を走りますので信号でのストップアンドゴーが多く、その都度加速しますので激重ルック車では軽快に走れませんが、到着時間が大きく遅れる程遅くはなりません。
7速ギヤによる影響
通勤通学では遠くても大抵1時間以内に学校や勤務先に到着しますので、重いギヤをゴリゴリ踏んで走っても脚への負担は限定的で脚ダレが起きる前に到着しますから、7速ギヤでも問題ありません。
パンク対応
後輪がパンクした場合ホイールの脱着は困難ですので、異物が刺さっていないか確認した後にパンク修理剤を使ってパンク対応して走る事になりますので、パンクした穴が小さければ問題ありません。
遅刻しますが最悪押して歩いて行けばいいですので、パンク対応にそれ程シビアになる事もありませんし、そもそもママチャリで走った場合でもパンクリスクはあります。
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日常での利用
ルック車とはいえ形だけはロードバイクですので、前かごがありません。
ですが、ママチャリよりも軽快に買い物に行けますし、ルック車は安いですのでしっかり鍵さえ掛けておけば盗ませませんので、安心して日常に使えます。
重量増による影響
日常での利用はママチャリで10分から20分でたどり着く程度の距離になりますので、激重ルック車でもほぼ気になりませんし、ママチャリも似た様な重量です。
気にしている内に到着している事でしょう。
7速ギヤによる影響
こちらも「重量増による影響」と同じく、ギヤが重くても気にしている内に到着していますので問題ありません。
パンク対応
パンクしても超短距離ですので、押して自宅まで帰れます。
ですので、パンク対応用品を携行する必要自体ありませんが、パンク修理剤ぐらいは携行しておいた方が良いでしょう。
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まとめ
ヒルクライムレースでは、走行抵抗の大半が登坂抵抗になるので、激重ルック車での出走は重量増による影響がかなり大きく7速ではギヤの間隔が広すぎるので一定ケイデンスを維持して走る事が難しい。
クリテリウムレースでは加速と減速が多く激重ルック車での出走は加速が鈍くなり、加減速を繰り返していく内に差が広がってしまう為、不利になる。
ロードレースでは平坦路の場合、コーナーでの減速を最小限に抑えて走る事ができれば加速に費やす労力も最小限になるので激重ルック車でもそれ程不利にはならないが、アップダウンがあるコースでは上りで大きく後れを取ってしまう。
エンデューロレースでは同じコースを周回するので周回遅れの選手の為に減速せざるを得ない状況になる事もあり、その都度加速するので激重ルック車の鈍い加速だと、より後れを取ってしまう。
また、7速ギヤでは重いギヤで走り続ける事も多く、耐久レースの後半で脚がタレやすくなる。
レースでの共通点はパンクしたら記録を狙えず大半の人はリタイアするので、ルック車で参戦してもパンク面では不利にならない。
ツーリングでは制限時間がないので多少遅くても問題なく、7速ギヤでも緩いペースで走るのでケイデンスが多少落ちても脚への影響は少ない。
通勤通学では信号が多い市街地を走るので激重ルック車では加速しづらいが距離が短いので問題なく、7速ギヤは重いギヤで走る場合もあるが気にしている内に到着する。
日常での利用では超短距離なので、激重ルック車でも走りを気にしている内に到着する。
ツーリングや通勤通学ではパンク対応できないと致命的だが、小さい穴であればパンク修理剤でパンク対応できる。
激重ルック車は重量やメンテナンス性のデメリットを理解して乗りますと、走りに対する不満も小さくなるでしょう。
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