カーボンフレームを採用したロードバイクにした場合、どんなメリットがありますか?
エントリーグレードのアルミ製ロードバイクからミドルグレードのカーボン製ロードバイクに買い替えた場合、フレームが軽くなりますがパーツのグレードも上がる事で重量がさらに軽くなりますので、上りが速くなります。
カーボンフレームの特徴について分かる。
カーボンフレームの耐久性や破損について分かる。
カーボンフレーム製のロードバイクに買い替えようとしている人。
安いカーボンフレームでもアルミフレームより軽くて必要十分な強度があります。
ですが、カーボンフレームは剛性が低下しやすかったり、転倒した時に当たり所が悪いと割れたりします。
そこで本記事では、カーボンフレームの特徴と取り扱いについて取り上げます。
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目次
本記事の要約
カーボンフレームはアルミフレームより軽いですが、アルミフレームより剛性が低下しやすいです。
また、自転車が転倒した場合はフレームが割れやすい為、走行中だけではなく駐輪時にも倒れない様に注意しましょう。
カーボンフレームの特徴
アルミフレームより軽い
一般的なアルミフレームは1,500g台ですが、低価格帯のカーボンフレームは1,000g台とアルミフレームより軽いです。
特に自転車重量が軽い程、有利になるヒルクライムレースでは軽量化で得られる効果が大きいです。
・身長 171cm
・体重 61kg
・機材重量 10kg
・出力 250w
・ハンドルポジション係数 100
・走行距離 21km
・標高差 1,000m
・転がり抵抗係数 0.002999
上記の条件で走行しますと計算上60分でゴールできますが、500g軽量化した場合は軽量化前と比較して16秒速くゴールできます。
以下の「速度と走行時間の計算フォーム」にご自身のデータや機材重量や走行条件を入力して、軽量化で短縮できるタイムを計算してみましょう。
剛性や衝撃吸収性を変えられる
アルミフレームとカーボンフレームには大きな違いがあります。
アルミフレームは硬く振動吸収性がほぼありませんので、走行中にタイヤから伝わる細かい振動がほとんど減退されず、ライダーに大きく伝わってきます。
カーボンフレームはカーボン繊維の種類や積層数を変える事でフレームの剛性を調整できます。
ですので、アルミフレームの様な硬く振動吸収性がほぼないフレームから、しなやかで振動吸収性の高いフレームまで自由に設計できます。
硬く衝撃吸収性がほぼないフレームはペダルを強く踏み込んだ時の反応が良く、レースに適しています。
しなやかで振動吸収性の高いフレームは細かい振動をよく吸収しますので、ロングライドに適しています。
ただし、25Cや28Cなどの太めのタイヤを履いて空気圧を低めにセッティングした方がフレームを変えるより振動吸収性を高くできます。
カーボンフレームの耐久性
フレームがヘタりやすい
アルミフレームとカーボンフレームには大きな違いがあります。
アルミフレームは金属疲労でクラックが入るまで剛性があまり低下しませんので、壊れるまで末永く使用できます。
カーボンフレームは使用環境や走行距離により、フレームの剛性が低下しやすくなります。
新品ではアルミフレームと同等の剛性があっても、脚力がある人がガンガン走行していますと剛性の低下が激しくなります。
剛性が低下しますとペダルを強く踏み込んだ時にフレームが力を吸収して路面に伝えられるパワーが大きく減退して、軽いだけの進まない自転車になってしまいます。
ですので、プロ選手は1年でフレームや自転車を新しい物に交換してもらっている事が多いです。
なお、プロ選手が使わなくなった中古品のフレームを販売している事がありますが、一般人には必要十分な強度が残っていますので、まだまだ使用できます。
紫外線の影響は受けにくい
2023年11月1日訂正
カーボン繊維を固めるエポキシ樹脂は紫外線の影響で劣化します。
ですが、カーボンフレームを含むカーボンパーツには紫外線を遮断する塗装をしていますので、紫外線による劣化を気にする必要はありません。
カーボン繊維が見えるカーボンフレームやカーボンパーツにはクリア塗装をしていますので、こちらも紫外線による劣化を気にする必要はありません。
カーボンフレームに近い重量の超軽量アルミフレームはトリプルバテット構造で中央部が極薄になっていますので、耐久性はカーボンフレームより劣りますし、価格もカーボンフレームと同等以上します。
ですが、超軽量アルミフレームはペダルの踏み込みに対する反応性能が高いですので、アルミフレームの特性が気に入っているライダーに愛用されています。
カーボンフレームの破損
転倒すると破損しやすい
カーボンは面に加わる衝撃や負荷には強くですが、一点に集中する衝撃や負荷には弱いです。
カーボンフレームで組み立てられたマウンテンバイクでダウンヒルをしていて突き上げる様な衝撃がフレームに加わっても、フレーム全体で衝撃を受け止める為、コースを下っている時にフレームが破損する事はフレームが劣化していない限りありません。
ですが、落車転倒して石がフレーム側面に強く当たりますとカーボンフレームが割れる事がよくあります。
ロードバイクでも落車してカーボンフレーム側面に強い点衝撃が加わった場合、フレームが大破したりクラックが入ったりする事があります。
走行中だけではなく、コンビニ休憩で駐輪していて壁に立てかけたロードバイクが不意に倒れた時にフレーム側面が車止めブロックに当たりますと割れる事があります。
万が一自転車が倒れてフレームにクラックが入ってしまった場合でも、エポキシ樹脂をしみ込ませたカーボン繊維をクラック部に巻いて自分で補修する事ができます。
強く締め付け過ぎると割れる
ステムやシートポストを付ける時、必要以上の力で締め付けますとカーボンが割れます。
締め付けトルクが指定されているパーツの場合、締め付けトルクの範囲内でネジを締め付けますとカーボンは割れません。
締め付けトルクが強すぎますとカーボンが割れますが、逆に締め付けトルクが弱すぎても走行中に取り付けたパーツがズレてきます。
特にハンドルの締め付けトルク不足は走行中にハンドルがズレて危険ですので、カーボンが割れない範囲内でしっかり締め付けておきましょう。
仕事で機械の組み立て作業をしている人でしたら手の感覚で締め付けても問題ありませんが、不慣れな人は高価ですがトルクレンチを使ってネジの締め付け作業をすると良いです。
トルクレンチを使用する事で確実にパーツの指定トルクでネジを締め付けられますし、力の入れ過ぎによるカーボンパーツの破損事故を防げます。
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一流メーカー製の製品ですので、信頼性があります。
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比較的買い求めやすく、この工具でもトルク管理はしっかりできます。
指定外の部分にパーツが付けられない
カーボンフレームを含むカーボン製パーツは締め付けられる部分にはカーボンの積層を厚くして強化していますが、締め付けを想定していない部分に対しては軽量化や剛性を変える為にカーボンの積層を薄くしています。
例えばカーボンハンドルにサイクルコンピュータやライトを取り付けても問題ありませんが、クリップオンタイプのエアロバーを取り付けますとカーボンが割れます。
同じ様にカーボンフレームにキャリアやスタンドを後付けしますとフレームの薄い部分に取り付ける事になる為、締め付け作業中にフレームが割れる可能性があります。
もし、カーボンフレームにキャリアやスタンドを付けたい場合は、ダボ穴が設けられているカーボンフレームにするか、ダボ穴付きのカーボン製ロードバイクに買い替えましょう。
カーボンフレームのキワモノ品について
中古のカーボンフレームに注意
フレームを含むカーボンパーツは一見クラックがない様に見えても、見えない内側にクラックが入っている事があります。
新品で購入したカーボンフレームを使用しているのでしたら落車したかどうか覚えていますが、中古の場合は分かりません。
ネットオークションやフリマサイトに出品されている説明文にはカーボンフレームの状態が書かれていますが、購入者は実物を確認できませんので出品者を信用するしかありませんし、見えない部分にクラックが入っていて出品者が気づいていない事もありえます。
それでも状態が良く、説明文通りのフレームであると信じてリスクを許容できるのでしたら、おすすめできませんが購入を検討しても良いでしょう。
安すぎる超軽量カーボンフレームに注意
中華系大手ショッピングモールで販売されている中華カーボンフレームは、5万円台の超低価格でありながら、重量は800g台と価格に対してあり得ないほど軽いです。
5万円台でカーボンフレームを製品化しようとしますと、安いカーボン繊維シートをより多く積層させて強度を確保する必要があります。
超軽量に仕上げる為にはカーボン繊維シートの積層数を減らして軽量化するしかありませんが、低コストでは強度の低いカーボン繊維シートを使わざるを得えませんので、走行上必要な強度すら確保できていません。
ですので、重量的にはハイエンドカーボンフレームと同等の軽さであっても、実際に走行しますとフレームがしなりすぎてペダルを踏み込んだ力がフレームに吸収されてしまい、軽いだけの進まない自転車になってしまいます。
フレームがしなり過ぎて進まない自転車になるだけでしたら安物買いの銭失いで済みますが、走行中にフレームが折れたら大怪我では済まない可能性もあります。
安い物には安く販売できる理由がありますので、極端に安くて軽いカーボンフレームには手を出さない様にしましょう。
極端に安いカーボン製品は危険ですので、使わない様にしましょう。
販売戦略やステマ記事に御用心
スポンサーの販売戦略
プロ選手が1年ごとにフレームを交換している理由は、フレームの耐久性や過酷な使用環境だけではなく、スポンサーの新モデル販売戦略の意味もあります。
チームに資金を提供するスポンサーの意向は強く、例えばスポンサーから選手に不評なサドルを提供されても、提供されたサドルを付けてレースに参戦しなければなりません。
もし、提供されたサドルをレースで使わなかった場合、提供されたサドルを取り付けなかったメカニックがチームから降ろされます。
5万円台の練習用ホイールで走れと言われても指示通りにしなければなりませんが、他の選手はハイエンドカーボンホイールを使っていても、練習用ホイールで結果を出す選手もいます。
他にも闇は深く、とあるメーカーのアルミシートをフレームに貼って走れとスポンサーから言われたら、その通りにしなければなりません。
宣伝しろと言われたら、自転車ショーでプロのロードレーサーが出演して「これをフレームに貼るだけでギヤ2枚違う」と実際にはあり得ない、べた褒め営業トークをしなければなりません。
「とあるキノコを食べて…」と、真偽が分からない体験談を掲載している怪しい健康食品業者よりは、命に関わらない分だけまだマシですが。
ネットの情報を鵜呑みにしない
インターネット上にはステマ記事が多数存在しています。
「ステマ」とはステルスマーケティングの略で、宣伝や広告である事を読者から隠して行う宣伝活動の事です。
アマゾンの高評価レビュー商品に注意
アマゾンでは高評価されている商品であっても、実際にはレビューするとおまけがもらえる等レビュアーに対して利益誘導をしていて、本当は満足していない商品であっても購入者が高評価レビューしている場合もあります。
下記の動画は自転車関連製品ではありませんが、アマゾンで販売されている高評価ノートパソコンの闇について取り上げている動画です。
アマゾンの商品ページのURLをサクラチェッカーで調べてみますと、過去の傾向から怪しい商品かどうか判別してくれます。
ですが、サクラチェッカーでサクラ判定を受けた商品であっても、実際に使ってみますと意外に良い商品である場合もありますので、リスクを承知の上でサクラ評価が多い商品を購入しても良さそうです。
ブログや動画サイトやSNSに注意
購入を検討している商品を検索サイトで検索してみますと、べた褒めしている記事が検索結果に表示されてくる事もあります。
記事を執筆している本人は絶対に手を出さないボッタクリ商品やゴミ商品であっても、記事の出稿を依頼している販売業者やメーカーから金銭や商品を提供を受けて作られた、べた褒め記事や動画を作っている「アフィカス」が一定数います。
その様な読者の利益を無視したアフィカス記事から身を守る為には、耳にしないメーカーの商品には手を出さない事です。
少々値が張りますが、よく耳にするメーカーの製品を選びますと無難です。
なお、当ブログもアフィリエイトで収益化していますが、読者にとって有益にならない案件はいくら好条件を提示されてもお断りしています。
良い商品は良い、悪い商品は悪いとメーカーや販売業者に対して忖度(そんたく)なく記事にて紹介しておりますので、応援よろしくお願いします。
おすすめのカーボンフレーム
結局カーボンフレームは軽くなる程価格が高くなりますので、軽いフレームを使いたい場合は多額の購入費用を用意するしかありません。
ですが、カーボンフレームでも価格に対してワンランク軽いコストパフォーマンスに優れた製品もあります。
中華製品ですが、「ICAN」は評判が良く信頼できます。
ただし、フレーム重量は1,100g台とカーボンフレームとしては少々重いですが、低予算でカーボンフレームに交換したい場合におすすめです。
まとめ
カーボンフレームはアルミフレームより軽くて、カーボン繊維や積層数を調整する事で剛性や衝撃吸収性を変えられる。
販売されているカーボンフレームは塗装されているので紫外線による劣化はしないが、脚力のある人がガンガン走り込むとフレームがヘタって進まない自転車になる。
カーボンフレームはフレーム全体で受け止められる衝撃には強いが、一点に集中する衝撃には弱く破損する。
また、パーツを組み付ける際に指定トルク以上にネジを強く締め付け過ぎるとカーボンが割れる。
アルミフレームではダボ穴がなくてもスタンドを付けたり、アタッチメントを使ってキャリアを付けたりできるが、ダボ穴がないカーボンフレームに取り付けようとするとフレームにクラックが入る。
カーボンフレームは一見クラックがない様に見えても内周部にクラックが入っている事があるので、中古のカーボンフレームを購入する際は破損リスクを許容する必要がある。
相場と比較して安すぎる超軽量カーボンフレームは必要最低限の強度があるのか怪しいので、購入してはいけない。
カーボンフレームの特性を理解して、自分に合ったフレームを選びましょう。
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