アルミフレームのロードバイクに乗っている人は、一度は「カーボンフレームはいい物だ」と考えた事はありませんか。
カーボンフレームは価格と軽量性は比例します
衝撃吸収性は体感しづらいです
紫外線の影響を受けて経年劣化します
外観に損傷が見られなくてもフレーム交換を検討する必要があります
カーボンフレームにアップグレードしようか検討している人
カーボンフレームの特徴と取り扱いについてまとめました。
この記事を読んで、カーボンフレームについて理解しましょう。
それでは、どうぞ。
目次
カーボンフレームについて

カーボンフレームは価格と軽量性が比例し、カーボン繊維を固めているエポキシ樹脂は紫外線の影響を受けて経年劣化します。
また、想定外の方向から加わる衝撃には弱く、クラックが入っても目視で確認できない場合もあります。
そして、振動吸収性は体感しづらいです。
それでは、その理由について下記にまとめましたので見ていきましょう。
カーボンフレームの特徴

カーボンフレームは高い
カーボン製のフレームセットの価格帯は、おおよそ10万円から50万円までです。
もちろん、10万円以下のフレームセットもありますし、50万円を超えるフレームセットもあります。
ですが、安すぎるフレームセットは作りが雑で、そもそも走行上必要な強度を確保できているか怪しいです。
カーボンフレームは軽い
カーボンフレームは軽いです。
エントリーグレードのアルミフレームは1500g台ですが、エントリーグレードのカーボンフレームは1000g台です。
ですので、エントリーグレードのカーボンフレームに変えるだけで500gの軽量化ができます。
500g軽量化できたら、1時間のヒルクライムを17km/h 250wで走った場合、軽量化前より18秒速くゴールできます。
カーボン繊維の違い
アルミフレームも超軽量モデルになると960gまで軽くなりますが、カーボンフレームの超軽量モデルでは650gまで軽くなります。
カーボンフレームのエントリーモデルとハイエンドモデルの違いは、使われているカーボン繊維のグレード差によるものです。
大抵のカーボンフレームは、東レのカーボン繊維が使われています。
エントリーモデルからハイエンドモデルにグレードアップするにつれて、T600 T700 T800 と数値が上がっていき、最終的にはT1000やT1200まで上がっていきます。
数値が高い程、重量比で強度が高くなりますので、同じ強度でフレームを作るとより軽いフレームを作れます。
エントリーモデルは安いカーボン繊維が使われている為、必要な強度を確保するのにカーボン繊維を多めに使わなければならず重いフレームになってしまいます。
少し強度を落として軽量化をしておりますが、必要な強度は十分に確保されています。
ハイエンドモデルは高いカーボン繊維を使われており、少なめのカーボン繊維で十分な強度を確保できますので、軽いフレームに仕上がっています。
使用目的もエントリーモデルは初心者から中級者を想定していますので、ペダルへの踏み込む力もそれほど高くないと想定し、少々剛性を落としていると思われます。
ハイエンドモデルは上級者を想定していますのでペダルへの踏み込みも強く、フレームのしなりによるパワーロスを極力軽減する為に高剛性にしていると思われます。
剛性や衝撃吸収性の違い
アルミフレームはエントリーモデルでも高剛性ですが、カーボンフレームのロードバイクと乗り比べても、正直剛性や衝撃吸収性の違いが体感できませんでした。
フレームで衝撃吸収性を改善するより、太いタイヤに付け替えて、その分空気圧を落とした方が違いを体感でき乗り心地がよくなります。
カーボンフレームの耐久性

カーボンフレームは紫外線の影響を受ける
カーボンフレームはアルミやクロモリなどの金属製ではなく、カーボン繊維を縫製してからエポキシ樹脂で固めて積層しています。
そのエポキシ樹脂は紫外線の影響を受けますので、使っている内に経年劣化します。
室内保管する事はもちろんですが、アルミフレームのセカンドバイクを用意して、練習はそれで行うとよいでしょう。
相場より安すぎるカーボンフレームに注意
大手ショッピングモールに出品されている中華カーボンフレームは、5万円台の超低価格でありながら、重量は800g台と価格に対してあり得ないほど軽量です。
その価格帯では安いカーボン繊維しか使えないはずですし、強度の低いカーボン繊維を少なくして軽量化したら剛性のない進まないフレームになります。
進まないだけならいいのですが、走行中にいきなりフレームが大破したら、大怪我どころか死ぬ可能性もあります。
また、作りも雑でコンポーネントを組み付けていくら調整しても、調整できず変速不良になって使い物になりません。
安い物には安く販売できる理由がありますので、極端に安くて軽いカーボンフレームには手を出さない様にしましょう。
中華カーボンでも「ICAN」は評判がいいみたいです。
ただし重量は1100g台と少々重量がありますが、低予算でカーボンバイクにしたいのならこの選択もありだと思います。
超軽量フレームは耐久性を犠牲にしている
プロがレースで使っているハイエンドバイクのフレームは、1年ごとの交換を前提として設計されています。
プロですので、我々ホビーライダーとはペダルへの踏み込む力が2倍違うと思います
ホビーライダーがプロと同じフレームを使った場合、1年で交換する必要はないと思います。
それでも寿命は、普及帯のカーボンフレームより短いと考えられますが、距離にして3~4万キロは使えると思います。
セカンドバイクを持っていて、イベントやレースにだけハイエンドバイクを使っているのであれば、寿命を気にする必要はないと思います。
カーボンフレームの破損

転倒破損対策として最初から横にしておくと安心
カーボンフレームは想定外の部分に加わる衝撃には弱い
カーボンフレームは設計で想定されている衝撃には強いですが、想定外の面から加わる衝撃には弱く、簡単にクラック(亀裂)が入ってしまいます。
落車でカーボンフレームに強い衝撃を受けた場合、外観に異常が見られなくても、内部にクラックが入っている場合があります。
また、休憩時に柵や壁に立てかけたロードバイクが突風によって倒れただけでも、フレームが割れる事もよくあります。
見えないクラックを見つけるには、専門の業者に調査してもらわなければなりません。
検査から修理まで1ヵ所あたりおおよそ5万円掛かり、修理したとしても修理前の剛性に戻る事はないと思いますから、フレーム交換を検討した方がいいかもしれません。
なお、エントリーモデルのアルミフレームでは大丈夫な自転車の転倒も、超軽量アルミフレームの場合、限界まで軽量化しています。
ですので、休憩で立てかけたロードバイクが倒れただけでクラックが入る事が考えられます。
中古のカーボンフレームは実物を見ても状態が分からない
ネットオークションやフリマサイトに出品されている中古のカーボンフレームは、本当に説明文に書かれている通りか、それとも落車歴を隠しているかは実物を見ても分かりません。
大手メーカー製カーボンフレームの中古品が安く買えそうでも、手を出さない方がいいでしょう。
状態がよく説明文通りのフレームであると信じてリスクを許容できるのであれば、買ってみてもいいとは思います。
カーボンフレームの組み立て

キャリアやスタンドは付けられない
カーボンフレームは、想定外の面に加わる衝撃には弱いです。
カーボンフレームのロードバイクに乗っている人が、キャリアやスタンドを付ける事はないとは思いますが、キャリアやスタンドを付けようとするとクランプ部でフレームが割れます。
ツーリング仕様にするのなら、アルミフレームやクロモリフレームにしてキャリアやスタンドを取り付けるか、ダボ穴付きのカーボンフレームにしましょう。
締め込みすぎによるカーボンの割れに注意
ステムやシートポストを付ける際に六角レンチで締め込みますが、締めすぎると割れます。
ただし、常識の範囲内のトルクで締め込む分には割れませんので、仕事で機械の組み立てを行っていて普段から工具を使い慣れている人なら、手の感覚で締め込んでいけば割れる事はないでしょう。
工具を使い慣れていない人が締め込む際は、トルクレンチを使いましょう。
トルクレンチなら、誰でも既定のトルクで締め込む事ができます。
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慣れてない人は素直にトルクレンチを使いましょう
スポンサーの販売戦略

プロが1年ごとにフレームを交換している理由は、フレームの耐久性や過酷な使用環境だけではなく、スポンサーの新モデル販売戦略の意味もあります。
チームに資金を提供するスポンサーの意向は強く、例えばスポンサーから選手に不評なサドルを提供されても、それを付けてレースに参戦しなければなりません。
もし、提供されたサドルを使わなかった場合、サドルを取り付けたメカニックがチームから降ろされます。
重い練習用ホイールで走れと言われてもその通りにしなければなりませんが、他のチームがハイエンドホイールを付けていても、重い練習用ホイールで結果を出す選手はいます。
他にも闇は深く、とあるメーカーのアルミシートをフレームに貼って走れとスポンサーから言われたら、その通りにしなければなりません。
宣伝しろと言われたら、自転車ショーでプロのロードレーサーが出演して「これをフレームに貼るだけでギヤ2枚違う」と実際にはあり得ない、べた褒め営業トークをしなければなりません。
「とあるキノコを食べて末期がんから生還」と、体験談を掲載している健康食品業者よりは、命に関わらない分だけまだマシですが。
まとめ
カーボンフレームは高くなる程剛性の高いカーボン繊維を使って軽く作れる為、価格と軽量性は比例する。
衝撃吸収性はアルミとカーボンを乗り比べても体感しづらい。
カーボンフレームはカーボン繊維をエポキシ樹脂で固めて成型している為、紫外線の影響を受けて経年劣化する。
カーボンフレームは想定外の面に加わる衝撃には弱く、例え外観に損傷が見られなくても内部にクラックが入っている場合があるので、フレーム交換を検討する必要がある。
カーボンフレームにアップグレードする場合、これらの長所短所を理解した上で組み替えましょう。