ヒルクライムに取り組んでいてタイムの更新を目標に日々頑張っていますが、最近タイムが伸び悩んでいます。
現在使っている心拍計よりパワーメーターを使用した方が良い事は分かっていますが価格が高く、なかなかパワーメーターを購入する決断ができません。
高い導入コストを超えるメリットを教えて下さい。
パワーメーターは高く、製品によってはハイエンドアルミホイールを超える価格ですので手が出しづらいですよね。
パワーメーターを買うよりホイールを買い替えた方がすぐに速く走れる様になりますが、その後またタイムが頭打ちになります。
パワーメーターを使って適切な練習をしてもすぐには速くなりませんが、継続する事で中長期的に脚力が向上しますので、ホイールを買い替えるよりもさらに速く走れる様になります。
ペーシングツールとしてパワーメーターの使用が良い。
ホームトレーナーで特定の負荷を加えての練習にパワーメーターの使用が適している。
パワーメーターを使用する事により過去の自分と現在の自分とで、どれほど強くなったのか比較できる。
パワーメーターを導入する事により一定ペースで走行できるだけではなく、練習での負荷を決めたり体調管理にも使えたりしますので、パワーメーターが一般的になっている現在ではガチ勢にとって必需品です。
ですが、一般的になったとはいえパワーメーターはまだまだ価格が高く、これから本格的にサイクリングに取り組もうとしている人にとっては、使うと良い事が分かっていても価格の高さから手が出しづらいです。
そこで本記事では、価格の高さのデメリットを大きく上回るパワーメーターのメリットについて取り上げます。
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目次
本記事の要約
パワーメーターは最高のペーシングツールですが、他にも効率的な練習ができたり、練習量の調整や体調管理もできたりします。
また、FTPと体重で求められるパワーウエイトレシオから自分の実力が分かります。
パワーメーターについて
パワーメーターとはペダルを踏み込んだ力を計測する電子機器です。
体重計の乗ると60kgとか体重が量れますが、どれだけ重い人が体重計に乗っても体重計が移動しないとパワーは発生しません。
荷重×速度=パワー
60(kg) ×9.806×0(m/s)=0w
ですが、体重計に乗った状態で体重計が少しでも動きますとパワーが発生します。
例えば、体重60kgの人が体重計に乗った時に体重計が毎秒0.5メートル下に下がりますとパワーが発生します。
60(kg) ×9.806×0.5(m/s)=294.18w
この様に、パワーメーターに荷重が加わった状態でパワーメーターが移動する事で発生するパワーをパワーメーターが計算してサイクルコンピュータに送信しています。
最高のヒルクライムペーシングツール
パワーメーターを使いますとペダルを踏み込んだ力を数値化できますので、サイクルコンピュータに表示されている数値を維持しながら走行する事により、速度や勾配や風向きに関係なく常に一定のペースで走行できます。
もし、ヒルクライム中にペースが維持できずにパワーが落ちてしまう様でしたらペースの上げ過ぎですので、次にチャレンジする時は前回の目標巡航パワーより10w低いパワーで走行した方が結果的に速く走れます。
逆にゴール後も脚にまだ余力がある場合は10w高いパワーで走行する事により、さらに速く走れます。
タイムトライアルでも上記の一例と同じ様にして走行しますと、現在の脚力で最高のパフォーマンスが発揮できます。
ただし、集団で走行するロードレースでは展開や駆け引きがありますので常時自分のペースを守って走行できませんし、集団走行中にサイクルコンピュータを注視する事は危険ですので、ロードレース中はあまり役に立たないかもしれません。
ちなみに、ロングライドする時にもパワーメーターが役に立ちます。
自宅までペースを維持できるパワーを目標巡航パワーとして走行しますと、自宅に到着するまで脚がタレずに楽しくサイクリングできます。
後からライドを振り返れる
ペーシングツールとして役に立つパワーメーターですが、自宅に帰ってからレースやサイクリングを振り返る事ができます。
ヒルクライム中に脚がタレてペースダウンした時はサイクルコンピュータに表示させているパワーから走行中にペースダウンした事が分かりますが、解析ソフトを使用する事により走行ログからパワーを見てみますと脚がタレ出した所からグラフが右肩下がりになっている事が分かります。
一定ケイデンスを維持している状態で途中からパワーが右肩下がりになっている場合はペースの上げ過ぎですので、次回は10wパワーを落とすと良いです。
ケイデンスが落ち出してからしばらくしてパワーが右肩下がりになっている場合は、今使っているギヤ比が重すぎます。
もっと歯数の多いカセットスプロケットに交換したり、34Tのインナーチェーンリングに交換したりしてケイデンスが落ちすぎない様にしますと前回より速く上る事ができます。
また、練習サイクリングでも自宅に帰ってから解析ソフトでサイクリングを振り返ってみますと、練習終了までペースが維持できたのか、それとも途中から脚がタレてきてペースダウンしたのかグラフで分かり、次の練習サイクリングに活かせられます。
解析ソフトは有料の物から無料の物まで色々ありますが、無料でも「Golden Cheetah」は細かく分析できますのでおすすめです。
ソフトを配布しているウェブサイトは英語でソフトも英語ですが、Golden Cheetah起動後にツールバーの「Tools」から「Options」を開き、「Language」を「Japanese」にする事により日本語化できます。
運動強度を管理しやすい
あらかじめ1時間のヒルクライムでの最大平均パワーや、FTPテストを行いますと、FTPから様々な強度の練習ができます。
ヒルクライムやタイムトライアル等の一定ペースで走るタイプのレースに強くなりたい場合、まとまった練習時間が確保できない平日にはホームトレーナーを用いてFTP比100%で20分間2セットの練習を行いますと心肺機能と筋持久力が向上します。
展開や駆け引きがあって自分のペースで走れない場面があるロードレースでは、短時間FTPを超えるハイペースで走る事を想定した練習を行うと良いです。
平日にホームトレーナー用いてFTP比120%で3分間行ってから軽いギヤに落として3分間軽く脚を回す練習を6セット行いますと、展開や駆け引きに強くなれます。
他にも練習メニューが色々ありますが、詳しくはパワートレーニングバイブルを読んで下さい。
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パワーメーターを購入した場合は、この本も併せて買いましょう。
この様にパワーメーターを使いますと、練習で加えるパワーを決めて目的別の各種トレーニングが行えます。
サイクリングの結果を数値化できる
休日の練習サイクリングでは設定した同じコースを走行して筋持久力を鍛えると効果的ですが、同じコースを走行しても風向きが変わった場合、コース完走タイムを基準として比較する事ができません。
100km以上のコースを一周するサイクリングで検証すると良いですが、次の一例では風向きの影響を説明する為に片道50kmを往復するコースで机上(きじょう)計算をしています。
往路
\(\frac{50km}{25km/h}= 2時間 = 120分\)
復路
\(\frac{50km}{25km/h}= 2時間 = 120分\)
合計
往路120分+ 復路120分= 240分
往路(向かい風)
\(\frac{50km}{23km/h}= 2.173時間 = 130.4分\)
復路(追い風)
\(\frac{50km}{27km/h}= 1.851時間 = 111.1分\)
合計
往路130.4分+ 復路111.1分= 241.5分
上記の事から風が吹くとタイムが遅くなりますが、パワーで比較しますと往路復路共に同じペースで走行している場合、平均パワーは風の有無に関わらず同じになります。
ですので、タイムで比較するより平均パワーで比較した方が過去のサイクリングとの違いが正しく数値化できます。
練習の計画が立てやすい
パワーメーターを使ってホームトレーナーや練習サイクリングを行いますと、サイクルコンピュータにTSS(トレーニングストレススコア)が表示できます。
もし、TSSが表示できないサイクルコンピュータを使用している場合は、走行データをフリーソフトのGolden Cheetahに取り込む事により、TSS(ソフトでは「TriScore」として表示)が分かります。
練習を終えた後に表示されているTSSを覚えておき、表計算ソフト(エクセルやgoogleドキュメント等)に打ち込む事で、過去42日間のデータから「体力」や「疲労」や「好調」を数値化する事ができます。
「体力」や「疲労」や「好調」を数値化させるには、直近42日間の平均TSSと直近7日間の平均TSSを表計算ソフトに打ち込んで計算させます。
CTLは体力の具合を数値化したものです。
CTLは高い程良いですが、1週間で7を超える場合は練習のし過ぎです。
ただし、シーズン初め頃から無理なく徐々に練習の強度を上げていった場合、CTL が7を超える事もありますが特に問題はなく、FTP強度での練習が続く様になりますとCTLの上昇も安定します。
ATLは疲労の具合を数値化したものです。
ATLは70を超えますと1週間あたりに行う練習量が多過ぎです。
TSBは好調さを数値化したものです。
TSBが低い程練習で体が疲れていますし、高くなりますと体がなまっています。
ですので、TSBが低すぎず高すぎない-30~+30の間が、疲労もしてなく体もなまっていない体が好調な時です。
上記の要領で表計算ソフトに練習計画を組み立てて得られるTSSを入力しますとCTLやATLやTSBを予測できますので、計画通りに練習メニューをこなした場合、練習計画が適切なのかをシーズン前に検証できます。
脚力の向上が数値化される
現在と過去のFTPを比較する事で、どれほど脚力が向上したのか分かります。
そして、FTPを体重で除算(割り算)しますとパワーウエイトレシオが計算でき、パワーウエイトレシオを他人と比較する事で自分の実力が分かります。
ちなみに僕のベストパワーウエイトレシオは4.2です。
まとめ
パワーメーターはペダルを踏み込んだ力を計測する電子機器である。
パワーメーターは一定ペースで走行するヒルクライムやタイムトライアルやロングライドでの最高のペーシングツールである。
サイクルコンピュータで収集したログをパソコンの解析ソフトに取り込むと、パワーのグラフからどこからタレてきたのか振り返る事ができる。
パワーメーターを用いてFTPを計測しておくと、FTPから目的別に様々な運動強度でトレーニングができる。
サイクリングでは風の影響により同じパワーで走行していてもタイムが変わるが、パワーは変わらないのでサイクリングの結果が数値として比較できる。
パワーから算出されるTSS(トレーニングストレススコア)から、適切な練習量や体の好調具合が分かる。
FTPと体重で計算できるパワーウエイトレシオから自分の実力が分かる。
パワーメーターは高価ですが効率的な練習ができますので、なるべく早めにパワーメーターを導入して質の高い練習をしましょう。
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