ホームセンターやスポーツ量販店で売られている「ルック車」。
本格的な物は予算的にちょっと… と思われて、「じゃあ形も似ているし買いやすいルック車にしようかな」と思われたでしょうか。
スポーツサイクルと比べて自転車重量が重い
リアの変速段数が少なく使いづらい
整備性が悪くパンク処理が大変
ルック車を買ってしまった人
安さにつられてルック車を買ってしまった人が、ルック車でスポーツライドできるか考察する内容にしました。
それでは、どうぞ。
目次
ルック車はスポーツサイクルの形をしたママチャリ
いきなりですが、ルック車はスポーツライドには向きません。
ママチャリの代わりにしましょう。
自転車が重くて変速段数が少ないから走っていても疲れやすく、整備性が悪い為にパンクしたら大変です。
ですので、ツーリングや練習など、遠くに走りに行くのには不向きです。
「ルック車」と「LOOK車」は別物
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の自転車の事ではありません。
こちらのLOOK車は「ルック車」ではなく正統な「スポーツサイクル」です。
各種カテゴリーの自転車

価格と品質の関係図
自転車は主に上記図の通り、大きく分けて4つのカテゴリーに分かれます。
図右上は「ツーリング」「競技用車」
高いだけあってフレームの質がよく、コンポーネントもそれに見合った物が採用されています。
もちろんこのカテゴリー内でも目的に応じて「ツーリング志向」「レース志向」に分かれますし、車体価格により大きく分けて「エントリーグレード」「ミドルグレード」「ハイエンドグレード」に分かれます。
このカテゴリーの中で自転車を選んでいけば、本格的に使用しても問題ないです。
図左下は「ルック車」
安く販売しなければならない為、フレームに製造コストを掛けられず重たいです。
また接合部の強度も不十分です。
コンポーネントも安い物が採用されています。
このカテゴリーの中で自転車を選んだ場合、スポーツライドするのは難しいでしょう。
図左上は「ぼったくり車」
4~5万円で販売できる自転車を10倍以上の価格で販売しています。
20通りのフレームカラーが選べたり、パーツ一つ一つにこだわりがあったりとメーカーの熱意が感じられる説明文が記載されています。
ですが実際は、フレームもスポーツライドには問題ありませんが特別良い訳でもなく、コンポーネントも日本製を謳っていますが下位グレードの物が採用されています。
このカテゴリーの中で自転車を選んだ場合、あとで同じ費用でハイエンドグレードに近い自転車が買える事を知ってしまったらガッカリするでしょう。
図右下はそもそも存在しない
もしも低価格でハイエンドグレードの自転車を販売したら、メーカーの採算が合わなくなります。
この事から価格とグレードは比例します。
パーツでは、カーボンフレームやカーボンホイールがハイエンドグレードと同じ重量で安く販売されていたりします。
この場合、メーカー製のフレームやホイールは設計して衝撃テストを行いながら安全性を確認して販売しています。
一方、とある国の一部のメーカーは販売されているハイエンド製品の形だけを真似て軽量化しています。
完全にオリジナルをコピーできておらず、強い衝撃が加わった時に破損する可能性がオリジナルより高くなります。
このカテゴリーの中の自転車はありません。また、オリジナルを真似た低価格超軽量のパーツは強度的に怪しいです。
フレームはママチャリの延長線上
ルック車はママチャリと同じ設計思想で開発されています。
形はスポーツサイクルと同じダイヤモンドフレームですが、フレームは低価格で量産しやすいように設計されています。
例えばスポーツサイクルのフレームは、トリプルバテット構造という3段階の肉厚のチューブを効果的に使っており、両端は肉厚が厚く中央部は肉厚を薄くして高剛性と軽量化を両立しています。
一方ルック車は、トリプルバテット構造にすると製造コストが高くなりますので、ただのチューブを使っており重いです。
同じ鉄でも、スポーツサイクルは高価なクロムモリブデン鋼(クロモリ)が使われていますが、ルック車は安価なハイテンション鋼が使われています。
クロモリフレームはしなやかで衝撃吸収性が高いですが、ハイテンション鋼のフレームは硬いです。
フレームサイズも、量産によるコストダウンの為にワンサイズのみになっています。
接合部の溶接やチューブの強度が低く舗装路では問題ありませんが、MTBルック車で悪路を走るとフレームが破損する事もありますので、メーカーとしては悪路走行禁止としています。
合計変速段数を記載し変速段数が多い様に見せかけている
スポーツサイクルは※リア8段変速以上のコンポーネントが採用されていますが、ルック車はリア6速のコンポーネントが採用されています。
またフロントはトリプルが採用されており、フロント3枚リア6枚で「18段変速」と謳っていますが、外装ギヤはチェーンのねじれの関係上すべての組み合わせが使える訳ではなく18通り使える訳ではありません。
MTBルック車は舗装路を走りやすくする為に、タイヤの中央部のブロックパターンを排除してスリック構造にしています。
※ スポーツサイクルでも一部エントリーグレードは7速であったり、逆にルック車でも7速であったりする場合もあります。
ホイールがナットで固定されていて整備性が悪くパンクしたら大変

スポーツサイクルのホイールは、リムブレーキモデルの場合クイックリリースでパンクした時にホイールを外す際、工具なしで簡単に車体から外す事ができます。
ルック車はママチャリと同じナット止めです。
ホイールを頻繁に取り外す事を考慮していません。
パンクしてもホイールの脱着がしづらく、チューブ交換に手間取ります。
ですので、重たいだけではなく整備性も悪いですから、ツーリングや練習にも向きません。
ホームトレーナーも固定式は取り付けできないですので使えません。
三本ローラーなら使えますがフレームサイズがワンサイズのみですので、サイズが合わなければ練習すらできなくなってしまいます。
騙されてルック車を掴まされた場合訴える事ができるか

自転車の特徴を説明してユーザーが理解した上で購入する場合はまだいいのですが、店の販売方針か店員の無知でルック車をスポーツサイクルと同等と説明している場合も考えられます。
悪質な場合はネット販売で有名メーカーのロゴを張り付けて販売しています。こちらは偽ブランド販売になりますので、後で気づいた場合でも警察やメーカーに通報するなり、それでも気が済まなければ採算度返しを承知で民事訴訟もできます。
弁護士を立てず自分で手続きや立証できるのなら格安で訴訟できますが、弁護士を立てて訴訟すると弁護費用が被害額を上回り、損してしまいます。
まとめ
安くて高品質な自転車は存在せず、安いからフレームやパーツの軽量化がされていないからスポーツサイクルと比べて車体重量が重い。
コンポーネントも価格に見合った低グレード品が採用されておりリアの変速段数が少なく、フロント3枚を合わせたギヤの組み合わせ合計で変速段数を多く見せかけている。
ホイールがナットで取り付けられており整備性が悪くパンク処理が大変。
以上の理由からスポーツライドにルック車は向きません。